モノスキー     by monopon   2024年 4月 2日更新  アクセスカウンター
                                                       monopont@yahoo.co.jp
                 
                                                                       
       モノスキーの紹介です。 
      飽きることもなく長年これで楽しんでおりますが、絶滅危惧種なのでゲレンデで見かけることもほとんどなくなりました。
      人様の冷ややかな視線は気にせずに、意地でも続けたいモノです・・・。
      モノスキーは1980年代までは多少の流行もありましたが、現代の若者には未知の世界のようです。
      歴史的にはスノーボードの大流行により自然淘汰されたような状態ですが、近年には多少復活の気配・・・(なさそう)で、
      生きる化石とも言われております。



              下記「Chamonix Grands Montets Ski」より抜粋

         

        Ⅰ モノスキーの初期
           

      モノスキーはアメリカの伝説的なサーファーのMike DOYLE氏の創作板をもとにフランスで1970年代に商品化が始まりました。

       深雪を楽に滑りたいという意味ではスノーボードの先駆的役割でした。
     
      初期のスノーボードはスノーサーフと呼ばれておりエッジもない新雪専用の板でした。
      それがモノスキーと同じようにソール面がシンタードグラファイトでエッジをつけて製造され
あっという間にモノスキーを駆逐してしまいました。
       その背景としてモノスキーはアルペンスキーとブーツも、ビンディングも、服装も同じ、違うのは板だけで業界への商業的寄与が少ないとされたところです。
       しかし、スノーボードの新世界はスノースポーツ産業発展の要素が満載であったので当然の帰結かもしれません。
       
       技術的な要因などがモノスキーのマイノリティを加速させたとの見方は一般論としても誤謬が大きいかと思います。
       
       モノスキーはDURETなどのメーカー以外にも積極的に製作した先人も何人か出ましたが、Jean Paul FRCHIN氏が最も有名です。
       彼はシャモニの山岳ガイドで工業技術者でもあり数々の登山用品を発明しており、なかでも「キーロックゲートカラビナ」は現代の主流です。
       また彼はアドベンチャースキーでも1979年4月のモノスキーでのモンブラン北面初滑降など驚くような実績があります。
       
       
       モノスキーの歴史などの参考資料としては2009年までの様子では以下のフランスのページが詳しいですが、英語への変換はありません。
         MONOVAL.FREE.FR
      
         

        Ⅱ モノスキーの商業的発展

      Mike DOYLE氏によるシングルスキー企業化不成立のあと、1979年にフランスのシャモニにあるDURET社がモノスキーの生産を始めました。

       DURET社はモノスキーを最初に商品量産化したフランスの老舗でモノスキー進化発展のトップリーダーでした。
      最初の板は寸胴型の第一世代のモノスキーでしたが、その成功を見てROSSIGNOLなどの大手メーカーも参入することになりブームの始まりです。
      第二世代ではDURETのピンテールとカーボーケブラー素材による操作性の向上と軽量化によりフランスなどで爆発的なブームとなりました。


       
       ピンテール・カーボンケブラーの「DURET FUN」初期型は大流行 (1980年代 フランスのシャモニ渓谷のグランモンテ氷河にて)  

       
       ROSSIGNOLも「Soleil Levant」を発売しましたが、性能的にはDURETのピンテール・カーボンケブラーモデルに遅れをとることになりました。
      「Soleil Levant」は日本趣味のカラーリングで、他にはピンテールモデルでの「BONZAI(盆栽)」もありました


       
       モノスキー第二世代はどのメーカーもDURETに追随し、そのOEMも含めてピンテール・カーボンケブラーモデルが主流となりました。

       
       BE-BOPは細身で切れ味抜群の上級者向き高性能モノスキーでした。

       
       「NITRO CHAM」も設計者の移籍でBE-BOPに準ずる高性能でしかも高品質でした。

         

          現代のモノスキー
       
       モノスキーが一般販売されてから45年以上にもなりますが、減少したモノスキー人口とは逆に近年の板は進化が顕著です。
      操作性や安定性が良くバリエーションも豊富で入門者にも取っつきやすくなっています。
      しかし、21世紀以降の急激な人気衰退でモノスキーメーカー自体も経営成立しなくなりました。
      現在はレッドデータブックの「絶滅危惧Ⅰ類」に該当しています。
      ですので、ゲレンデで見かけた場合は、希少種ですので写真を撮るなどして種の保存に協力するようにしましょう。


 DURET
 フランスのシャモニで山スキーに強みのあったメーカーで、有名なオールラウンドスキーヤーのピエール・ポンセなどの協力で1979年に商業生産を始めました。
 非常に多くのバリエーションモデルを次々と発売してモノスキーの市場を席巻していました。
 スノーボードに市場が取って代わられるまではそう長くはありませんでしたが、近年まで意欲的に活動していました。
 DURETのネット販売はもともと外部委託でしたが、三代続いたDURET家のスキー事業そのものもDBC社に移管され在庫整理状態となりました。
 在庫処理状態からついには2021年に両社とも廃業いたしました。復活の見込みは少ないでしょう。

 DURET 「ESPLIT DE GLISSE」 178cm (オールラウンドのフラッグシップモデル)

 オールラウンドモデルとしては究極の到達点です。

2014年の冨士見パノラマスキー場です。

 DURET 「ANIVERSARIO」 178cm (開拓者ピエール・ポンセメモリアルの30台限定モデル)
 滑走動画
 DURETのモノスキー発売30周年記念のチタン合金デッキのスペシャルバージョンで別格のオールラウンド高速性能でした。
 
 DURET 「LEGENDE」 186cm (高速性能が抜群なモデル)

 高速性能はもちろんのこと取り回しも軽く操縦安定性に優れたバランスの良い板でした。

 DURET 「FREE」 170cm  (モデルとしてはこれで4代目)

 初級者から扱いやすいスタンダードタイプ。カラー変更は別としてもモデルチェンジが多かったです。

 DURET 「BUMPS」 178cm  (コブ用として設計されました)
 滑走動画
 斬新な企画は需要と合致せずに目立ちませんでしたが、更なる改良があれば大ヒットしたかもです。

 DURET 「BEST OFF TITANAL」 173cm (細身の切れ味抜群のモデル)
 
 あまりにもシャープな高性能板だったので初級者向きではありませんでした。同型の「BEST OFF WOOD」が入門者から上級者まで人気でした。

DURET 「BEST OFF 183」 183cm (セカンドモデル)

 ピンテールに次ぐ第三世代モノスキーとしてパラボリック型となった板で途中からセパレートのベースプレート付きとなりました。
 性能的には最初のプレート無しが上でしたがどちらにしても長期人気モデルとなりました。

DURET社の本家による最後の宣伝カタログ



ALUFLEX
モノスキーだけでなくアルペンスキーやスノーボードやスケートボードまで製造するフランスのメーカーです。
職人気質の完璧主義で品質や性能は現在最高の評価です。
現在すべてのモデルで、製造構成にチタナルを使用した「ALUFLEX」と「ALUFLEX HYBRID」及びファイバー主体の「FIBER FLEX」があります。
数年前から会社組織(責任有限会社)となったALUFLEXですが、個人注文では受注生産となりますす。


 ALUFLEX 「MONOLITH」 180cm  (2019年時点では画期的な最新モデル)

構造モデルはALUFLEXです。
キャンバーとロッカーとの組み合わせが絶妙のモデルです。
板の長さは170㎝程度に感じられます、深雪でのコントロールが非常に楽になっています。


 ALUFLEX 「AIGUILLE VERTE」 169cm  (ALUFLEX社のフラッグシップモデル)
 滑走動画1 滑走動画2
構造モデルはALUFLEXです。
操縦性も軽く、高速安定性にも優れた「Aiguille Verte」がさらに進化しました。
キャンバーとロッカーとの組み合わせも良く板の長さは160㎝程度に感じられます。


 ALUFLEX 「FIBER FLEX」 180cm  (操作性も抜群のオールラウンドモデル)
 滑走動画
 ファイバーフレックスモデルで、その仕上がりの美しさは格別です。もちろん性能もすばらしいものです。

 ALUFLEX 「MONO SPLIT」 177cm  (山スキー用にセパレートしてシール登高ができます)
 滑走動画
 近年流行のバックカントリー対応ですが、こちらはアルュフレックスモデルとなります。



SNOW GUNZ
SNOW GUNZはフランスのシャモニにあるメーカーです。現在では残り少なくなった一般販売のメーカーです。
2023年からカラーリングの変更がありましたが、本体構造に変わりはなく初級者から扱いやすいモデルです。

 SNOW GUNZ 「ALPAIN ROCKET」 178cm  (標準的なモデルで万人受けします)
 滑走動画

 SNOW GUNZ 「SPLIT MONO」 178cm  (バックカントリー用です)
 滑走動画



WHITE KNUCKEL
モノスキーに熱心なアメリカの個人が起業したメーカーですが、時代の流れには勝てず数年で廃業となりました。好感の持てる陽気なオーナーでした。
本場フランスのダービーレースにもデモンストレーション参加しに来てそのパフォーマンス(ロケット噴射装置付きモノスキー)は大受けでした。
フリーライドに適したモデルが多かったです。

 WHITE KNUCKLE 「ALL MOUNTAIN」 193cm  (フリーライド又はダービーレース用)

 品質も良くバリエーションモデルも多くて廃業されたのが惜しまれます。


         

       Ⅳ 動画集  ネットで公開されている新旧の関連動画を集めてみました(年代順不同)

     「The Freeride State of Mind」
     現代型モノスキーの実質的開発者Mike Doyleのアラスカへリスキーです
     当時シングルスキーと呼ばれていた彼の板はベイルのスキー博物館に展示されています
     それよりもMike Doyleはロングボード全盛時代の伝説的なサーファーとして著名です

     「Chamonix 70's」
     フランスの天才スキーヤーPierre Poncetのフリースタイルスキーが華麗です
     モノスキーヤーとしても二度と現れない究極のレベルでした

     「Chamonix 70's Part 2」
     PhilippeとAlainのモノスキーが残るDick Barrymoreの貴重なフィルムです
     このサイトのシリーズ「Nuit de la Glisse」は迫真の映像が多いです

     「Mike Doyle's MONOSKI」 (1979)
     アドベンチャースキーで有名なDick Barrymoreの短編映画です 
     フランスの天才スキーヤーPierre Poncetが出ている数少ない動画です

     「Chamonix Grands Montets Ski」
     Dick Barrymoreの秀逸な短編映画です
     故Pierre PoncetをはじめPhilippe LecadreやAlain Revelなどのモノスキーのスパースターが活躍した時代です

     「Derby des Grands Montets」
     こちらもDick Barrymoreの映画「THE DERBY」の前半です
     山岳でのスピードレースの様子ですがその地形のためか死傷者続出でGrande Montetsでの開催はなくなりました
     12分過ぎからAnne GeryやPhilippe Lecadreのモノスキーが出てきます

     「Pascal Budin Skieur 1985」
     Pascal Budinは1970~80年代のエクストレムスキーのスーパースターのひとりでした
     モンブランの山頂からグラススキーで滑り降りたりしていました
     2008年の「Apocalypse Snow Le Retour」にも出ていました

     「Opéra Blanc」
     Philippe LecadreとAlain Revelのシャモニ最強コンビによる80年代最高の短編ムービーです
     監督は例によってDidier Lafond
     著作権の関係で削除されましたが再アップの時にはリンクいたします

     「Monoski 1989 – Fun Génération」
     最近は80年代の動画アップが多くなりましたがよく残していたものです
     当時のモノスキー有名人も皆若くてパワフルでした

     「fifi fun movie」
     想い出の80年代のテープビデオを編集してフィリップ自身がアップしたようです
     同時に出した「Mémorial Joël Géry 1988」は 懐かしの面々が見えます
     モノスキーのメッカであったフランスのシャモニでの撮影が当時の熱狂を思い出させます
     

Mémorial Joël Géry 1988

Mémorial Joël Géry 1987

     「The Time Machine - Monoski film ITA '80」
     イタリアの山岳映画としても秀逸で懐かしのTUAのモノスキーが出てきます
     モンブランのイタリアサイドのロケーションがすばらしいです

     「Apocalypse Snow 1」(1983)
     Didier Lafond監督作で当時としては革新的なスキー映画としてフランスで爆発的な人気でした
     現代ではスノーボーダーにも伝説のカルトムービーと言われています

     「Apocalypse Snow 3」(1986)
     Apocalypse Snow 3部作の最後で日本などでも撮影されました
     札幌や山形市の宝珠山立石寺などでの海外ロケを含む労作です

     「Apocalypse Snow Le Retour」(2008)-Bande Annonce
     Didier Lafond監督による上記作品25周年記念の現代版続編映画の予告編です
     本編の内容は一段と過激ですが芸術的でもありますのでスキー趣味以外の人にも楽しめます

      「MONO POPOW」  「E VIVA MONO」
      どちらもフランスの「TKB Films」製作で現代のモノスキーです

      「SKIPOPOW-HD Ski Freeride Film-Teaser4」
      これも「TKB Films」製作でパラパントからの撮影が見事です

      「Monoski Jump Freeride」
      フランスに近いスイス西部(フランス語圏)の「Glacier3000」というスキー場です
     Scex Rouge(2971m)からは印象的な鋭鋒Oldenhorn(3123m)が見えます
     ゲレンデ外中心の玄人向き氷河スキー場です


      「Monoski Crazy saison 3」
      この「Glacier3000」のシリーズでは3作目で映像としてはいちばん良くまとまっています

      「Jedi Fun Cup」
      2016年1月にフランス南部ピレネーの Peyragudes スキー場で行われたイベント「Jedi Fun Cup」です
     モノスキーやスノーボードなどの往年のスーパースターが集まりました



         

       Ⅴ モノスキーの本
         フランスで1985年に発行されたモノスキー写真集兼教則本ですが絶版となってからも久しいです
     

           Pierre Raissonは最初期からモノスキーの普及に尽力された人望厚い方です

              

           プライベート画像
         
        1980年代にはフランスでモノスキー大会もよくありました  このころの競技は主にモーグルとエアリアルでした


            
        
          Ⅶ スピードレース
        モノスキーの世界最高スピード記録は2006年にフランスのLes ArcsでXavier Cousseauによって樹立された 212.26㎞/h
        下はその時のYOU TUBE動画です
        
Kilometre Lance 2006
        
        この年はコンディションが良く6回目の滑降で達成
        同じく7回目にはSanna Tidstrandがスピードスキーの女子世界新記録を樹立 242.59㎞/h
        同じく6回目にはSimone Origoneがスピードスキーの男子世界新記録を樹立 251.40㎞/h
        同じく5回目にはMichael Miltonがハンディキャップスキーの世界新記録を樹立 213.65㎞/h
        日本人のこれまでのスピードスキー記録は女子が山崎香里の209.59㎞/h 男子が久住和永の241.61㎞/h
        
        2016年にはフランスのVARSにてIvan Origoneが世界記録を254.958㎞/hに更新しました
         女子世界記録もValentina Greggioiにより10年ぶりに更新され 247.763㎞/h


           

        
  Ⅷ ダービーレース
         アルプスの山頂近くから下界までのタイムレース 
         滑走用具はなんでも自由のフルオープン競技で世界中から熱烈な支持者が集まります
          
         私が参加した2000年の第12回「Derby de la Meije」の大会ポスターとスタート地点から見上げる「Pic de la Grave 3667m


              

                 モノスキーについての質問などがあれば・・・・・ monopont@yahoo.co.jp